「Et S'il Fallait Le Faire」は、フランスのシャンソン歌手
パトリシア・カースが2009年に発表した楽曲で、
同年のユーロビジョン・ソング・コンテストで
フランス代表として披露されました。
この曲のタイトルは
「もしそれをしなければならないなら」という意味で、
深い愛と献身をテーマにしています。
現代のポップラブソングが
軽快なリズムやキャッチーなメロディを重視するのに対し、
この曲は静かで重厚なメロディに乗せて、
まるで舞台のモノローグのように語りかける
演劇的でクラシックなシャンソンのスタイルです。
歌詞では、愛する人のためなら地球を止めたり、
時間を止めたり、冬を春に変えたりするほどの
覚悟があると語られています。
~S'il fallait le faire, j'arrêterais la terre~
(もしそれをしなければならないなら、私は地球を止めるでしょう)
~Je repousserais l'hiver à grands coups de printemps~
(冬を春に変える)
~J'arrêterais le temps~
(時間を止める)
これらはすべて、愛の力が
自然や時間さえも超えるという比喩的な表現です。
歌の後半では、語り手が
自分自身を完全に相手に捧げる覚悟を語ります
~Jusqu'à n'être plus rien, qu'une ombre qui te suit~
(あなたの影になる)
~Mon cœur veut bien saigner~
(心が流血しても構わない)
ここでは、自分の存在を消してでも
相手に寄り添いたいという、
極端なまでの献身が描かれています。
また、「あなたの目の青さを見つめたい」
「あなたの声を毎晩聞きたい」など、
相手の存在そのものに
深く惹かれている様子が繰り返し登場します。
これは、愛が単なる感情ではなく、
生きる意味そのものになっていることを示しています。
この曲は、静かなメロディに乗せて語られる
壮大な愛の宣言であり、聴く人の心に深く響く作品です。
このように、無条件の愛と自己犠牲を象徴する言葉が並び、
聞く人の心に強く訴えかけるバラードです。
~Jusqu'à n'être plus rien, qu'une ombre qui te suit~
(あなたの影になるまで、私は何者でもなくなってもいい)
ユーロビジョン2009の舞台では、
カースが一人でマイクスタンドの前に立ち、
シンプルかつ力強いパフォーマンスを披露し、
観客から大きな拍手を受けました。
この曲は、パトリシア・カースの
成熟した歌唱力と感情表現が光る作品であり、
彼女のキャリアの中でも特に印象的な一曲です。
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