Grupa MAESTROについて
Grupa MAESTROは、北マケドニア国内で活動する「民族音楽の現代的継承」を目的としたグループの一つとして知られています。
特徴は、
- 伝統音楽を博物館的に保存するのではなく、現代のライブ・エンターテインメントとして再構築する
- 北マケドニアだけでなく、セルビア、ブルガリア、ボスニア、ギリシャなどバルカン全域のレパートリーを演奏する
- 結婚式や地域祭礼でも演奏されることが多い
という点です。
そのため、彼らのライブでは純粋なマケドニア民謡だけでなく、「Djurdjevdan」のような旧ユーゴスラビア圏全体で共有されている楽曲も頻繁に取り上げられます。
「Djurdjevdan(ジョルジェヴダン)」の本当の特殊性
この曲は現在、
- セルビア人
- ボスニア人
- モンテネグロ人
- 北マケドニア人
- ロマ民族
の間で広く歌われています。
しかし興味深いのは、
「誰の曲なのか」を一つに限定できない
ことです。
もともとの旋律はロマ文化圏の春祭り「Ederlezi」に由来すると考えられています。
その後、
- 第二次世界大戦の記憶
- 旧ユーゴスラビアの文化
- ロマ文化
が重なり合い、現在の形になりました。
そのためこの曲は、
「民族の歌」
というより、
「バルカン全体の記憶の歌」
として扱われることが多いです。
歌詞の感情構造
歌詞を要約すると、
- 春が来る
- 世界は祝祭に満ちている
- 自分だけが喜べない
- 愛する人がいない
- 自由も失われている
- 季節だけが進んでいく
という構造です。
特徴的なのは、
自然界は再生しているのに、人間だけが再生できない
という対比です。
このため単なる失恋歌ではなく、
- 喪失
- 追放
- 戦争
- 故郷喪失
なども連想させる普遍的な悲歌になっています。
Bijelo Dugme版が与えた影響
1988年に発表した
Bijelo Dugme
版によって、この曲はバルカン全域で知られるようになりました。
中心人物は
Goran Bregović
です。
彼は後に映画監督
Emir Kusturica
との仕事でも有名になり、
バルカン音楽特有の
- ブラスバンド
- ロマ音楽
- 民族旋律
- 宗教音楽
を世界へ紹介しました。
「Djurdjevdan」が国際的に知られるようになった背景には、彼の存在が非常に大きいと考えられています。
北マケドニアで歌われる理由
北マケドニアでは、セルビア語曲であるにもかかわらず「Djurdjevdan」が非常に親しまれています。
理由は旧ユーゴスラビア時代にあります。
当時、
- セルビア
- クロアチア
- ボスニア
- 北マケドニア
- モンテネグロ
は同じ国家の中にあり、
音楽市場も事実上共有されていました。
そのため「Djurdjevdan」は国境を越えた共通文化財のような存在になっています。
Grupa MAESTROが演奏する場合も、
「セルビアの曲」
としてより、
「バルカンの共通遺産」
として扱われていると理解するのが実態に近いでしょう。
まとめ
Grupa MAESTRO
- 北マケドニアの民族音楽継承グループ
- 伝統音楽を現代的に演奏するスタイル
- バルカン全域のレパートリーを扱う
「Djurdjevdan」
- 聖ゲオルギオスの日(5月6日)を題材とする楽曲
- ロマ文化の春祭り「Ederlezi」にルーツを持つ
- 第二次世界大戦や旧ユーゴスラビアの歴史的記憶と結び付いて発展
歌詞の本質
- 春の祝祭の中で自分だけが喜べない
- 愛する人や自由を失った者の嘆き
- 「再生する自然」と「再生できない人間」の対比
そのため「Djurdjevdan」は、バルカン音楽の中でも特に象徴的な作品であり、しばしば「バルカンの第二の国歌」とまで呼ばれることがあるほど、地域全体の集合的記憶を背負った名曲と評価されています。
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