2026年4月27日月曜日

「春を呼ぶざわめき~SHUM」ゴー・エー(ウクライナ)


「SHUM」― 古代の春祭りを現代に蘇らせた、Go_Aの革新的フォーク作品

2021年のEurovision Song Contestで大きな話題を呼んだウクライナ代表曲「SHUM(シュム)」。

この作品は、一般的なラブソングやメッセージソングとは一線を画しています。

「SHUM」は、ウクライナに古くから伝わる春迎えの儀礼を現代のエレクトロニック・サウンドと融合させた、極めて独創的な作品です。

伝統と革新が見事に結びついたこの楽曲は、Eurovision史においても特別な存在として記憶されています。


歌詞が描く世界

春の訪れを呼び覚ます儀礼歌

「SHUM」の歌詞には、明確な物語や主人公は存在しません。

代わりに描かれているのは、

  • 春の到来を呼び起こす儀礼

  • 冬から春への移り変わり

  • 自然と人間共同体の結びつき

  • 再生と目覚め

といったテーマです。

タイトルの

「SHUM(シュム)」

は、ウクライナ語で「ざわめき」「音」「森の気配」などを意味します。

楽曲の中では、この「SHUM」が自然の精霊、あるいは春そのものを象徴する存在として扱われています。


呪文のように繰り返される歌

歌詞では、

  • 春へ語りかける

  • 種をまく

  • 草木が育ち、絡み合う

  • 音やざわめきによって自然を目覚めさせる

といったイメージが繰り返し登場します。

その構造は、物語を語る歌というよりも、

共同体が一体となって唱える「詠唱」や「呪文」

に近いものです。

この楽曲は、「意味を理解する」こと以上に、

歌い、踊り、儀礼に参加することそのもの

を重視している作品と言えるでしょう。


「SHUM」の文化的背景

ウクライナの春迎えの儀礼


「SHUM」は、ウクライナ北部に伝わる伝統的な春迎えの儀礼

「Shum Ritual(シュムの儀礼)」

をもとに制作されました。

この儀礼では、人々が集団で歌い、踊り、音を立てることで、冬の眠りから自然を目覚めさせると考えられていました。

言葉やフレーズの反復も、単なる音楽的演出ではありません。

古くから、繰り返される「音」そのものに宗教的・呪術的な力が宿ると考えられていたためです。

そのため、「SHUM」は現代のポップソングでありながら、同時に古代から受け継がれてきた儀礼の記憶を呼び起こす作品でもあります。


音楽的特徴

伝統民謡とテクノの融合

「SHUM」のジャンルは、

フォルトロニカ(Folktronica)

あるいは

エレクトロ・フォーク

に分類されます。

楽曲では、

  • ウクライナ民謡特有の旋律

  • 伝統的な歌唱法

  • 民族楽器による音色

を保ちながら、

  • テクノビート

  • トランス音楽的な反復

  • 電子的サウンド

を大胆に取り入れています。

この融合によって、「SHUM」は古代と現代を同時に感じさせる独特の世界観を生み出しています。


Eurovision 2021での評価

「SHUM」は、オランダ・ロッテルダムで開催されたEurovision Song Contest 2021でウクライナ代表として出場しました。

大会では、

  • 決勝:5位

  • 視聴者投票:2位

という好成績を収めました。

さらに大会終了後も、

  • Spotify Viral 50(世界)

  • Billboard Global 200

などにチャートイン。

ウクライナ語による楽曲として、国際的な成功を収めた代表的な作品のひとつとなりました。

全編ウクライナ語で歌われ、民族的要素を全面に押し出した作品がこれほど広く受け入れられたことは、Eurovision史においても極めて画期的な出来事でした。


Go_Aとは?

バンドプロフィール

  • バンド名:Go_A

  • 結成:2012年

  • 出身地:ウクライナ・キーウ

  • ジャンル:フォルトロニカ/エレクトロ・フォーク

バンド名の意味

「Go_A」という名称は、

  • 英語の Go

  • ギリシャ文字 Alpha(始まり・起源)

を組み合わせたものです。

そこには、

「起源へ戻る」「ルーツへ回帰する」

という意味が込められています。


主なメンバー(Eurovision 2021時点)


  • Kateryna Pavlenko:ボーカル

  • Taras Shevchenko:キーボード、サンプラー、創設者

  • Ihor Didenchuk:笛、民族管楽器

  • Ivan Hryhoriak:ギター

特にボーカルのKateryna Pavlenkoは、ウクライナ民謡特有の歌唱法を現代的なパフォーマンスへと昇華させたことで高く評価されています。


Go_Aの音楽理念


Go_Aの楽曲は、そのほとんどがウクライナ語で歌われています。

また、民謡や儀礼歌を現代のサウンドによって再構築することを活動の中心に据えています。

彼らは、流行を追いかけるポップ路線とは一定の距離を保ち、

「一時的な流行ではなく、記憶に残る音楽を作りたい」

という姿勢を示しています。

「SHUM」は、まさにその理念を最も象徴する作品と言えるでしょう。


まとめ

「SHUM」とは

✅ ウクライナの春迎えの儀礼を現代音楽として再構築した作品

✅ 自然の再生と共同体の結びつきを描いた儀礼歌

✅ 古代の民俗文化とエレクトロニック・ミュージックを融合させた革新的な楽曲

Go_Aの魅力

✅ ウクライナの伝統文化を現代に伝える独創的なサウンド

✅ 民謡とテクノを融合した唯一無二の音楽性

✅ 「記憶として残る音楽」を追求する芸術的な姿勢

「SHUM」は、単なるEurovision参加曲ではありません。

それは、

古代から受け継がれてきた共同体の記憶を、現代の音によって呼び覚ます音楽的儀礼

なのです。

その独創性ゆえに、本作は現代エレクトロ・フォークの代表作として、今後も語り継がれていくことでしょう。

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