前回の投稿で、以前の事業について、ほんの少し書いたが、
今日は、そのオーダー紳士服の話。
本業とは別に、空きの時間に営業活動をしていた。
僕は若い頃から、自営業への憧れを抱いていたのだが、
廻りからは、とてもネガティブな意見ばかりが続出し続けていた。
そんな意見が出るからこそ、ビジネスチャンスだと思っていたもので、
一日の歩みはハードだったが、とにかく楽しく充実した日々を過ごせた。
インターネットの普及で、自宅にも低速であったが回線が繋がり、
僕は早速、ホームページを持ち、自分でなんとか作ったものを
公開してみると、決して多くはなかったが、問合せもあったり、
時には、直接お客様宅へ訪問する機会も与えられた。
インターネット経由の初めてのお客様は、
身体に障がいを持っている男性だった。
既製服ではなかなか合わない体型だったために、
間に合わせのスーツで仕事をされていた。
すべての採寸を終わらせ、2週間後にステキなスーツが完成し、
そのお客様のお宅へ急いでお届けした。
実は、そのお客様宅は、僕の自宅から150キロほど離れている。
若い男性で、ファッションに対しての憧れを抱く青年だったが、
今までで最高のスーツに袖を通した彼には、
今まで以上の喜びがあった。
僕は売れない時期も長くて、大変な毎日だったが、
お客様の喜ぶ笑顔を見ることができて、
非常に満足だった。
商売に対して否定的な人々は少なくない。
その多くの人々は安定を求め、
どこかの有名企業に勤められれば感謝。
というような事を言われたこともあるのだが、
その捻くれた認識には納得できなかった。
事業と言うものは、たった一人で成り立つものではなく、
一つの商品が売れることで、
それを作っている人々の生活をも支えることになる。
だから、目に見えない、工場で必死に働く人々の汗や、
原料である羊の世話をしている人々の汗を覚えるときに、
感謝の言葉しか出てこないのである。
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