2012年5月22日火曜日

原材料が商品になるまで


 前回の投稿で、以前の事業について、ほんの少し書いたが、

今日は、そのオーダー紳士服の話。

本業とは別に、空きの時間に営業活動をしていた。


 僕は若い頃から、自営業への憧れを抱いていたのだが、

廻りからは、とてもネガティブな意見ばかりが続出し続けていた。

そんな意見が出るからこそ、ビジネスチャンスだと思っていたもので、

一日の歩みはハードだったが、とにかく楽しく充実した日々を過ごせた。

インターネットの普及で、自宅にも低速であったが回線が繋がり、

僕は早速、ホームページを持ち、自分でなんとか作ったものを

公開してみると、決して多くはなかったが、問合せもあったり、

時には、直接お客様宅へ訪問する機会も与えられた。


 インターネット経由の初めてのお客様は、

身体に障がいを持っている男性だった。

既製服ではなかなか合わない体型だったために、

間に合わせのスーツで仕事をされていた。

すべての採寸を終わらせ、2週間後にステキなスーツが完成し、

そのお客様のお宅へ急いでお届けした。


 実は、そのお客様宅は、僕の自宅から150キロほど離れている。

若い男性で、ファッションに対しての憧れを抱く青年だったが、

今までで最高のスーツに袖を通した彼には、

今まで以上の喜びがあった。


 僕は売れない時期も長くて、大変な毎日だったが、

お客様の喜ぶ笑顔を見ることができて、

非常に満足だった。


 商売に対して否定的な人々は少なくない。

その多くの人々は安定を求め、

どこかの有名企業に勤められれば感謝。

というような事を言われたこともあるのだが、

その捻くれた認識には納得できなかった。


 事業と言うものは、たった一人で成り立つものではなく、

一つの商品が売れることで、

それを作っている人々の生活をも支えることになる。

だから、目に見えない、工場で必死に働く人々の汗や、

原料である羊の世話をしている人々の汗を覚えるときに、

感謝の言葉しか出てこないのである。

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